ANIMAL EXPERIMENTATION
実験動物について

実験動物について

試験実施の写真

実験動物とは?

実験動物とは教育、試験研究、その他科学において実験に用いられる動物のことです。マウスとラットが比較的よく実験に使用されます。場合によっては、ブタ等大きめの動物も使われます。

動物実験の種類

ヒトでの安全な試験を開始する前に、動物実験は不可欠とされています。
動物実験は基礎研究と非臨床試験という2段階で行われます。
では、基礎研究と非臨床試験との違いをここでは身近な分かりやすい例を取り上げて説明していきます。

基礎研究

動物実験を行った基礎研究は候補となる新規物質の発見と創製の段階となります。
動物実験は主に新薬の開発に実施されます。
例えば、新薬を開発したいと考えた場合、今までにない新規化合物を作って、薬として効果を発揮する可能性のある物質であるかを調べる必要があります。新規物質の性状と化学構造を調べ、スクリーニングにかけて取捨選択します。
このような新規物質の発見・創製の流れは基礎研究と言われます。

非臨床試験

非臨床試験とは、選択された新規物質の有効性・安全性・毒性を調査することです。基礎研究の段階で新規物質を決めた後に行われます。
非臨床試験の目的は、最初のヒト試験における安全な開始用量を決定し、物質の潜在的な毒性を評価することです。
前述と同じように、新薬開発から説明していきます。
まず、基礎研究では薬として可能性のある創薬候補物質を抽出しました。
次に、ヒトでの試験を安全に行う為に、実験用動物を対象にしてこの候補物質の有効性・安全性・毒性を調査します。候補物質の有効性・安全性・毒性を調査することは、それぞれ薬物動態試験(ADME)、薬効・薬理試験、安全性試験(毒性試験)と呼ばれています。

実験動物の特徴

遺伝要因、環境要因は動物実験の結果に大きく影響するため、多くの動物で遺伝学的統御と環境の微生物学的統御がされていることは実験動物の特徴です。

ストレスに配慮した飼育環境

正しい実験データを出すために、実験動物の飼育環境に配慮する必要があります。
実験動物にストレスを感じさせると、実験データに影響を与える可能性があります。そのため、実験動物の生理、生態、習性等に適した飼育環境を作ることが大事です。例えば、温度、湿度、換気、照明、ノイズ等です。
科学的合理性だけ考えるのではなく、動物が精神的・肉体的に充分健康で、幸福であるように飼育環境を調整することを心がける必要があります。

動物実験に関する規制

実験動物の取扱いは動物愛護の視点から適切に実施される必要があります。動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなど配慮するための、動物実験に関する規定「3Rの原則」、「動物実験委員会の設置」、「実験動物の適正な取扱い」について説明します。

3Rの原則

動物実験を適正に行うため、国際的に普及している「3Rの原則」があります。
3RはReplacement(代替法の利用)、Reduction(使用数の削減)、Refinement(苦痛の軽減)のことです。

・Replacement(代替法の利用):できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること
・Reduction(使用数の削減):できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること
・Refinement(苦痛の軽減):できる限り動物に苦痛を与えないこと

科学上の利用の目的を達成できる範囲において、この3つの原則に基づいて動物実験を実施することが動物の愛護及び管理に関する法律において規定されています。

現在では、実験の途中であっても、長引くことによって動物への苦痛が高い実験と判断された場合人道的エンドポイントに従い安楽死させ、実験動物を耐えがたい苦痛から解放する。安楽死は法律に沿って行い、できる限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いなければならないとしています。

動物実験委員会の設置

動物実験に関して客観的な視点で審査し、動物実験計画を適正に立案、実施させるため、動物実験委員会の設置が必要となります。
動物実験委員会の役割は機関の諮問を受け、提出された動物実験計画を法律規定に基づいて、科学的合理性の観点から審査し、点検することです。必要に応じて飼育環境の調査、実験実施者の教育、機関等の長に報告・助言する場合もあります。

実験動物の適正な取扱いについて

動物の命を大切に考え、実験動物の適正な取扱いが必要となります。

環境省が定める「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」では動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものであるが、その科学上の利用に当たっては、動物が命あるものであることにかんがみ、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、できる限り利用に供される動物の数を少なくすること等により動物の適切な利用に配慮すること、並びに利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によって行うことを徹底するために、動物の生理、生態、習性等に配慮し、動物に対する感謝の念及び責任をもって適正な飼養及び保管並びに科学上の利用に努めること。また、実験動物の適正な飼養及び保管により人の生命、身体又は財産に対する侵害の防止及び周辺の生活環境の保全に努めること。

引用:「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」

また、「高品質な実験動物の安定供給」、「実験動物及び動物実験に関連する技術及び福祉の向上」等を図るため、「日本実験動物共同組合」、「日本実験動物協会」など実験動物生産業者ならびに関連事業業者によって公益活動を行う関連団体もあります。

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