目的
慢性腎臓病(CKD)は年々患者数が増えており,国の施策として「腎疾患対策検討会」において我が国における腎疾患対策のあり方について検討し、「腎機能異常の重症化を防止し、慢性腎不全による透析導入への進行を阻止すること」、及び「慢性腎臓病(CKD) に伴う循環器系疾患(脳血管疾患、心筋梗塞等)の発症を抑制すること」を目標として 腎疾患対策の方向性が示されている.
今回慢性腎臓病モデルとして利用されているアデニンを混餌で投与することによりマウスのCKDモデルを作製したが,0.2%アデニン含有では病態が強く,0.1%アデニン含有では病態を発症しなかった.そこで,0.15%アデニン含有について検討した.
方法
マウス,C57BL/6J,雄
8週齢
正常粉末飼料(CE-2),アデニン0.15%含有粉末飼料
各群6例
マウスに正常粉末飼料を与える群とアデニンを0.15%混ぜ合わせた粉末飼料を与える群を設けた.粉末飼料は49日間与え,採血はアデニン投与開始前,その後1週間ごとに4回無麻酔下で鎖骨下静脈より実施した.血液は遠心分離後血漿(ヘパリン)を採取し,BUN,Creを経時的に測定した.
結果
体重は正常粉末飼料群(Cont)では順調に体重の増加が認められたが,アデニン0.15%含有飼料群(0.15%)は投与6週目まで投与開始日とほぼ同様の体重を示し,7週目で減少する推移を示した.対照群と比較し,投与5週目から有意な低値であった.
BUNはアデニン投与3週目より有意な高値が認められ,投与7週目で急激な増加が認められた.また,Creは投与2週目から有意な高値を示し,投与5週目までは同様な値を示したが,投与6週目から更に増加し,7週目でBUN同様急激な増加を示した.
図1 体重変化
図2 BUN,Cre
まとめ
‐アデニン誘発慢性腎不全モデル(1)‐では,アデニンの含有量の用量依存性を見るために0.1%及び0.2%のアデニンを混餌することにより,慢性腎不全モデルの作製を試みたが,0.1%ではモデルには至らず,0.2%では強いモデルが作製された.そこで,今回0.15%アデニン含有によるモデル作製を試みた.
その結果,体重に大きな影響は認められないが,血中パラメーター(BUN,Cre)は徐々に増加し,慢性腎不全の病態を示すことが分かった.
0.1%,0.15%,0.2%とアデニン濃度を振り分けることにより,CKDの病態はアデニンの濃度に依存して病態が悪化することが分かり,0.15%以上でCKDモデルの作製が可能であることが示された.また,0.2%ではアデニン投与開始後2週目で急激な悪化が認められるが,0.15%では徐々に腎不全の状態を呈し,薬効試験を実施するに適した濃度であることが推察された.
自社開発技術の紹介
小動物
慢性腎不全モデルラットの作製
-腎動脈分枝結紮法-
マウスを用いた耐糖能試験
-OGTT-
坐骨神経切除による腓腹筋,
ヒラメ筋,足底筋に対する影響
慢性腎不全モデルラットの作製
-アデニン誘発慢性腎不全モデル-
デキストラン硫酸ナトリウム誘発
潰瘍性大腸炎モデルの作製
マウスの無麻酔経時採血方法の検討
‐頚静脈(鎖骨下静脈)‐
経口脂質負荷試験(OLTT)を用いて
新規肥満・糖尿病マウス作製法を用いた
肥満・糖尿病予防効果(特許出願中)
新規肥満・糖尿病マウスの作製(特許出願中)
慢性腎不全モデルマウスの作製
‐アデニン誘発慢性腎不全モデル(1)‐
慢性腎不全モデルマウスの作製
‐アデニン誘発慢性腎不全モデル(2)‐
大動物
低用量STZ誘発性糖尿病
モデルブタの作製
CONTACT
お仕事のご依頼、詳しい内容のご相談などをご希望の場合はお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。