目的
糖尿病は生活習慣病の一つであり,国が定める重要疾患の一つに位置付けられている.糖尿病有病者と糖尿病予備群は合わせて約2,000万人いるといわれている.そのため,数多くの糖尿病薬や健康食品が開発されてきている.この開発初期のスクリーニングとしてマウス或いはラットにブドウ糖溶液を経口投与し,投与後経時的に血糖値を測定する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が行われている.そこで,GLP-1分解酵素であるDPP-4を阻害するSitagliptinを用いて血糖値上昇抑制効果を検討した.
事前準備物
一晩絶食したマウス(雄)、Control(蒸留水)、Sitagliptin(シタグリプチン)、ブドウ糖、血糖値測定器
方法
マウス,C57BL/6J,雄
6週齢
Control(蒸留水),Sitagliptin 1 mg/kg,Sitagliptin 3 mg/kg,各群8例
一晩絶食したマウスにControl或いはSitagliptin(1,3 mg/kg)を経口投与し,その1時間後にブドウ糖を2g/kg経口投与した.血糖値の測定はSitagliptin投与直前(Pre),ブドウ糖投与直前(0)及びブドウ糖投与後0.5,1及び2時間に行った.
データは平均値±標準誤差で表し,統計処理はDunnet検定(両側検定)を実施し,有意水準は5%以下とした.
結果
Sitagliptinは経口投与により,用量依存的に血糖値の上昇を有意に抑制した(**:p<0.01).
GTT(耐糖能試験)の解説
今回の試験では、ヒトの75gOGTT(経口糖負荷試験)を参考に、体重1kgあたりブドウ糖2gを投与することにしました。ラボによって、投与量が異なります。
まとめ
GLP-1は血糖値依存的に分泌され,膵臓のβ細胞に作用しインスリンを分泌させる.しかし,このGLP-1はDPP-4により分解され,その半減期は2分程度であると言われている.SitagliptinはこのDPP-4酵素阻害薬であり,GLP-1の作用を持続させる作用がある.
Sitagliptin単独投与では血糖値の上昇がないため,血糖値に影響がない(Pre→0).しかし,ブドウ糖投与後Sitagliptinは有意に血糖値の上昇を抑制した.
このように本試験により薬物の単独作用,ブドウ糖投与による血糖値上昇抑制作用を捉えることが可能である.
自社開発技術の紹介
小動物
慢性腎不全モデルラットの作製
-腎動脈分枝結紮法-
マウスを用いた耐糖能試験
-OGTT-
坐骨神経切除による腓腹筋,
ヒラメ筋,足底筋に対する影響
慢性腎不全モデルラットの作製
-アデニン誘発慢性腎不全モデル-
デキストラン硫酸ナトリウム誘発
潰瘍性大腸炎モデルの作製
マウスの無麻酔経時採血方法の検討
‐頚静脈(鎖骨下静脈)‐
経口脂質負荷試験(OLTT)を用いて
新規肥満・糖尿病マウス作製法を用いた
肥満・糖尿病予防効果(特許出願中)
新規肥満・糖尿病マウスの作製(特許出願中)
慢性腎不全モデルマウスの作製
‐アデニン誘発慢性腎不全モデル(1)‐
慢性腎不全モデルマウスの作製
‐アデニン誘発慢性腎不全モデル(2)‐
大動物
低用量STZ誘発性糖尿病
モデルブタの作製
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